DATE 2021.11.12

子育ての悩みをアートな視点で考える。新連載「アートな子育て相談」が始動!

読者の皆さんの子育てのお悩みを、ミュージアムエデュケーターの会田大也さんと一緒に”アート”という視点から考える新連載がスタート。今回、連載スタート直前企画として、この連載の意図や、会田さんとは一体どんな人物なのかをご紹介します!
(c) absodels RF /amanaimages
(c) absodels RF /amanaimages

子育てにはアートが必要だ!

 

子育てにアートが必要。
などと書くと、「子どもをお絵かき教室に行かせなきゃ!」と思う人もいるかもしれませんが、そうではないのでご安心を。

アート的な視点や思考で、子育ての悩みや疑問を考えてみようというのが本連載の目的です。

「アート」というと、日本では少しハードルが高めな、“高尚な趣味”という捉えられ方をされがちですが、欧米では生きるための知恵、教養として広く親しまれています。

 

アートは、アーティストが作品を生み出す際に、自らと向き合いながら新しい表現を模索して創造したもの。そうした作品を通して、時代性や他者の視点や思想を知ることで、自分の内なる考えに対峙し、自分なりの思考を導くことが、アートに期待できることなのです。

常識や固定概念に囚われずに「本当にそれは正しいのか?」「自分はどう思うのか?」と、自らの考えを疑い突き詰めていく批判的思考は、「正解のない時代」と言われる今、必要不可欠な思考とも言えます。

 

今回スタートする新連載「アートな子育て相談」は、「正解のない時代」に子育てをしている、子供と関わっている読者の皆さんから寄せられた様々な子育て悩みを、アート的な視点から探っていこうというもの。

皆さんの相談に一緒に考えてくれるのは、ミュージアムエデュケーターの会田大也さんです。

(c) Emi Komagata/a.collectionRF /amanaimages
(c) Emi Komagata/a.collectionRF /amanaimages

お悩み相談のナビゲーターは、子どもとアートを結び付けてきたスペシャリスト!

 

3人の子供の父としての顔をもち、山口情報芸術センター(通称:YCAM/ワイカム)でミュージアムエデュケーターを務める会田さん。日々「子どもはどんな風に世界を捉えているのか」を考えながら、子ども向けのアートワークショップやイベントを企画してきた会田さんが、アートの専門家としての視点、たくさんの子どもたちを見てきたエデュケーターとしての視点、自身も子育てに悩みをもつ父親としての視点を掛け合わせながら、皆さんからのお悩みを一緒に考えてくれます。
特に、学校以外の子どもたちの表情を数多く見てきた会田さんならではの「子どもの視点から考えるとどうなるのか?」という考え方は、きっと目から鱗。子どもへの向き合い方がフッと楽になるような視点を与えてくれるはず。

今回、連載スタート直前企画として、会田さんにインタビューをしました。そもそも会田さんの肩書でもある「ミュージアムエデュケーター」とは、どんなお仕事なのでしょうか?

 

豊かなアート体験を提供するのが、ミュージアムエデュケーター

まずは連載をはじめる前に、会田さんのことを読者の皆さんにご紹介できればと思います!会田さんの肩書でもある「ミュージアムエデュケーター」というお仕事について、耳慣れない方も多いのではないでしょうか。会田さん、まずはお仕事について教えてください。

会田

一般的にイメージしやすいのは、美術館で作品の解説を行ったり、ワークショップを開催する仕事ですね。僕自身はもう少し幅を広げて、ミュージアムに足を運んだ人が滞在してる間、その人が様々なアート体験ができるような仕掛けを常に考えています。

展示作品について、キュレーターと一緒に「もっと補助的な情報を増やそうか」という話をしたり。多くのお客さんが来場するアートフェスティバルでは、作品についてお客さん同士が語り合える場づくりを提案して、会話スペースをしつらえたりもしました。同じ作品を見たお客さん同士が話し合うことで、意外な視点や発見があったりするものなんですよね。

 

他には、ワークショップと言ってもただの楽しい催し物や学習だけではなくて、実際に家具を作って帰るような企画を立てたり。ミュージアムショップでお土産を買って帰る代わりに、お土産を自分でデザインして持って帰る、みたいなね。そんな風にアート鑑賞をもっと豊かな体験にできるような企画を日々練っています。つまりミュージアムエデュケーターは、ミュージアムで起こる体験のデザインをするお仕事ですね。

山口情報芸術センター © Yamaguchi Center for Arts and Media〈YCAM〉
山口情報芸術センター © Yamaguchi Center for Arts and Media〈YCAM〉

会田

YCAMは公共のアートセンターなので、対象者の年齢や世代は幅広いです。美術好きの方たちだけではなく、地域の子どもたちや、もちろんお年寄りの方もいらっしゃいます。

 

なかでも子どもはやっぱり独特です。特に「言葉」が独特。論理的な思考をする大人とはアートに対する捉え方も全く違うため、子ども達から見た時に世界がどういう風に見えているのか、ということが想定できていないと仕事になりません。

(c) Rosley Majid / EyeEm /amanaimages
(c) Rosley Majid / EyeEm /amanaimages

「子ども視点」はどうすれば理解できる?

毎日子どもと生活していても、「なんでこんなことするんだろう?」ということの連続です。子どもの視点に立って物事を見たり考えることができたら、面白そうだし子どもとのコミュニケーションも変わりそうですね。会田さんは「子どもの視点」を、どのように理解してきたのですか?

会田

ワークショップやイベントを通じて実際に多くの子どもたちと関わりながら、手探りで理解していったところが大きいです。

以前、展覧会という形で、ギャラリーの中に公園を作るお仕事をしたことがありました。その時には、相当数の公園に足を運んで、じーっと子どもたちを見ながら、子ども達ってこういう時に喜ぶんだな、こういう時にルールが変わっていくんだな、と仮説を立てつつ観察したこともありましたね。それで、子どもが面白がったり楽しんだりすることを地道に探っていきました。

なるほど。観察しながら子どもの視点を探っていくと。公園をつくる仕事というのは、YCAMの人気の企画「コロガル公園」シリーズのことですか?

会田

そうですね。2012年から続いている「コロガル公園」シリーズは僕の代表作のひとつです。YCAMはメディアをテーマにしたアートセンターなので、情報のやり取りをするメディア・テクノロジーを公園の中に埋め込んで、新しい時代の遊び場を提示したんです。

 

簡単に紹介すると、公園内に設置したパイプの中に声を遠くに届ける電声管を埋め込んでみたり、照明の色をどんどん変えていったり、カメラとモニターのシステムを公園の中に埋め込んだりもしました。そうすると、子ども達自身がそれを使って新しい遊びを発明して、作っていくんです。子どもにとっては目の前にあるもの全てが、新しい遊びを生み出す種なんですよね。「コロガル公園」では、そういった遊びの実験をできるような、公園のプログラムを作りました。

YCAMの「コロガル公園」 photo:山中慎太郎(Qsyum!)
YCAMの「コロガル公園」 photo:山中慎太郎(Qsyum!)

子どもが自発的に考えて遊ぶきっかけをつくっているわけですね。でもつい、子どもと一緒にいると行動を先回りしがちになってしまいますよね。それをすると危ないとか、変なことしないでねとか、そういう心配からの行動なんですけど。

会田

そうですね。先回りして何でも大人が教えてくれるとなると、その子の中で、自分で試してみる必要はないこと、に分類されちゃうかもしれない。

「イノベーション」という考え方で言えば、前例がないことにチャレンジする人がいないと世界は広がっていかないですよね。予測できることしかしない人だらけの世の中だと、例えば経験したことのない課題が生まれた時に、思考停止してしまうこともあるかもしれない。そういう意味では、大人が先回りして教えすぎちゃうと、逆に子どもの可能性を奪ってしまうこともあり得ますよね。

子供が生まれながらに持つ「子ども視点」を大切に育てることで、豊かな思考力や想像力、つまりアート思考が育つのかもしれないですね。

(c) Wilaipon Pasawat / EyeEm /amanaimages
(c) Wilaipon Pasawat / EyeEm /amanaimages

世界は大人の視点だけで出来ているわけではない

会田

例えばテレビのワンシーンなんかで、子どもがお味噌汁を机の上にこぼしてしまい、それを手でパシャパシャ叩いてるシーンがありますよね。親としては「早く片付けなきゃ」「床が汚れる」と思いがちですが、でもそれは大人が、味噌汁がこぼれると部屋がどうなるのかを予測できるから。子どもはその予測がつかないからこそ、「机に広がった液体は手で触るとどんな感じなんだろう?」とか「お椀の中に入っている豆腐と、机の上に飛んだ豆腐は少し感触が違うのかな?」とか、そういうことを確かめているわけですよ。それによって、液体とは何か、お豆腐とは何か、ということを理解するようになるんだと思うんです。

育児あるあるのシーンですね(笑)。そういう時に躾の一環と称して、親は「こぼしちゃダメでしょ!」って怒りがちですけど、よく考えると、こぼされると後始末が面倒くさい、という親都合の考えで自分のために怒っている面もあるのかも。それで、後から反省しちゃったり。

会田

もちろん放っておくことが当たり前になるとまずいので、「食べ物をこぼすことはいけないんだよ」と教育することは大事だとは思います。物事には二面性がありますし、親都合で怒っていることが結果として教育的にプラスに作用する事だってあるし、親御さんも考えすぎなくて大丈夫だと思いますよ。

ただ大事なポイントとしては、一つの出来事が起きた時に、親目線だけで世界が作られているわけではなく、子どもは子どもの目線で世界を構築しているんだと、理解しておくことだと思います。特に親目線からだけで子育てをしていくと、互いにしんどくなってしまうこともあると思います。でも、「子どもってこういう風に考えているんだ。こうやって成長しているんだ」と思うことによって「これはしょうがないか」と思える瞬間がやってくると思いますし、そうするとより良い親子関係になるのかなと。

子どもの視点を知ること、想像することは子どもの心に寄り添うことにつながりますし、「子どもってこう考えているんだ」と気づくことで、大人も自分の思考をほぐして、新しい考えができるようになりそうですね。まさにアート思考な捉え方だなと思います。どんな質問が来るか今から楽しみですね!

子どもにまつわる疑問やお悩みを大募集!

Fasuでは、読者の皆さんが会田さんに聞いてみたい、お悩みや疑問をお待ちしています!アートな視点で、子育てをもっとクリエイティブに。身近なことから将来のことまで、皆さんといっしょに考えていきます。

例えば……

「YouTubeばかり見ているのが不安。何を見せればいい?」

「我が子はお絵かきに興味が全くありません。カラフルな色鉛筆や絵の具も買い与えてみたけれど……無理強いしないほうがいい?」

「外に出て、体を動かしたり色んな遊びを体験して欲しいけど、どうやったら新しい遊びに興味を持ってもらえるでしょう?」

「会田さんおすすめの子供と行けるミュージアムが知りたい!」

などなど。

 

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