DATE 2021.02.12

子どもの歯、大丈夫? 100年元気な歯をつくるためにできること【子どものオーラルケア新常識・前編】

子育ての中で誰もが一度は直面するであろう、子どもの歯磨き問題。歯ブラシを嫌がる、ちゃんと磨けているのか不安……。そんなオーラルケアにまつわる悩みや疑問に、現役の小児歯科医がお答え。子どものための「正しいオーラルケア」の新常識を、この機会に深めてはいかがだろう。

 

コロナ禍でなんとなく歯科医院へ行く足が遠のきがちな今、子どもの歯のケアがきちんとできているか、心配な人も多いのでは?

「ちゃんと朝晩、自分で磨けているから大丈夫」「痛がってもいないし虫歯はなさそう」と思っている人も要注意。オーラル意識が世界的にも遅れていると言われる日本において、自分が正しいと思っていたケア方法が間違っているというケースも少なくない。

そこでいま改めて学びたい子どもの正しいオーラルケア習慣について、「キッズデンタル」代表の小児歯科医、坂部潤先生に教えてもらいました。

 

 

いくつわかる? 子どものオーラルケアにまつわる常識・非常識

□毎食後、歯ブラシで歯磨きしていればOK!

 

□「子ども用」と書いてあれば、歯磨き粉は好きな味で選んでよし

 

□乳歯に虫歯があっても、いずれ抜けるから心配しなくても大丈夫

 

□仕上げ磨きは小学校入学くらいまで

 

□痛がってなければ虫歯の心配なし

 

□虫歯予防のために、おやつは絶対に禁止

 

 

 

 

……実はどれも不正解。正しい知識を今からチェック!

 

乳歯時代から、虫歯との戦いははじまっている

歯磨きや歯医者通いなど、オーラルケアを嫌がる子どもが多い現実。いずれは生え替わる乳歯ですが、どのタイミングからオーラルケアを意識する必要はあるのでしょうか。

 

「乳歯は生後6か月頃から生えはじめ、5歳半〜10歳頃までの間に永久歯に生えかわります。乳歯を治療する必要があるか、という質問はよくありますが、実は乳歯の段階で、その後の永久歯が虫歯になるキッカケができてしまいます。口の中に1つでも虫歯があると、虫歯菌は口全体に増えます。そしてその乳歯がなくなっても、虫歯菌の比率が多い環境は永久歯まで継承され続けてしまうのです。

乳歯の時代に虫歯がないと、永久歯が虫歯になる確率が減りますし、将来の永久歯の歯並びが悪くなるのを防ぎます。トラブルのない健やかな歯や歯並び、噛み合わせは、虫歯や歯の喪失、歯周病、風邪や病気など、さまざまなリスクを減らすことにもつながります。そして人生の最後まで自分の歯で食事をすることは、生活の質を高め、健康寿命が長くなることもわかっています。

健康的で幸せな人生を末長く歩むためにも、乳歯のケアからしっかり向き合うことが重要です」

コロナ禍のいまこそ見直そう。ホームケアQ&A

大人になってからオーラルケア習慣を変えるのは大変なこと。幼児期に正しい知識が自然と身につけば、大人になっても健康な歯を維持することができます。
「我が家のオーラルケアは、本当に合っている?」と不安なファミリーのために、よく耳にする歯の疑問・悩みを坂部先生にぶつけてみました。

 

 

Q. 歯磨きは何回するのがベスト?

 

A. 1日2回の「本人磨き」と、夜は親による「仕上げ磨き」を。

「7〜8割の虫歯の原因は、歯磨きでコントロールできます。食べかすなどを除去するエチケット目的であれば毎食後の歯磨きが理想ですが、虫歯や歯周病の予防目的では『1日1回、端から端までしっかり磨くこと』が重要

特に、夜のケアが大切です。就寝中は唾液の分泌が減って口の中の抗菌作用が抑制され、虫歯、歯の病気のリスクが高まります。夜は本人磨きに加え、親による『仕上げ磨き』と、フロスを使ってケアする時間を確保してください」

 

 

Q. 仕上げ磨きのポイントは? 何歳まで必要?

 

A. 大切なのは「完成度」。8歳まで習慣にしましょう。

「虫歯になりやすいのは、奥歯のような磨きくいところ。仕上げ磨きでは、磨き残しがないか『完成度』を意識してください。顔と顔を向かい合わせた姿勢で行うのはNG。顔がグラグラして口の中がよく見えず、しっかり磨ける確率は低くなります。親が正座になり、ひざの上に子どもの頭をのせて行いましょう。口が上を向くので、通常の照明でも奥まで見えやすくなります。

ポイントは、しっかり3分、端から端まで順番に、ていねいに磨くこと。親のクセによって磨き残しが出やすいので、磨く順番を決めるといいでしょう。

小学校に入ると仕上げ磨きをやめてしまう家庭も多いようですが、小児歯科学会でも、8歳までの仕上げ磨きを推奨しています。虫歯はなりやすい2つのピークがあり、1つは自分で甘いものを食べられるようになる2歳半〜3歳、もう1つが永久歯に生えかわる6〜7歳です。生えはじめの歯は『幼若永久歯』と呼ばれ、柔らかく虫歯になりやすい歯質です。さらに、奥歯の生え途中は口内にゴミが溜まりやすい。歯肉が被っていて磨きにくい、他の歯より低いところにあるため歯ブラシの毛が当たりづらい……など、本人磨きだけではカバーしきれないため、仕上げ磨きが非常に大切になります」

自分磨き用の歯ブラシ(黄色)と仕上げ磨き用の歯ブラシ(水色)は持ち手の長さが違うのが特徴。自分で上手に歯ブラシが持てない赤ちゃん〜乳児は、喉までブラシが届かない設計のものが安心(一番左)。
フロスは、子どもの歯のサイズに合わせた小さめをチョイス。フロスが入りづらい奥歯には、Y型のフロスがおすすめだ。

 

Q. デンタルフロスって、子どもに必要ですか?

 

A. 子どもでも、歯の隙間がないなら必要です。

「フロスは歯と歯の間の汚れを落とす役割があります。乳歯の歯並びは、次の永久歯が控えているため歯と歯の間がスカスカしているのが標準ですが、実際はあごが小さいために乳歯でも歯が隙間なく並んでいる、という子どもも多いです。隣り合う歯がぴったりくっついている場合は、歯ブラシだけでなく、フロスでのケアを行うようにしてください」

 

Q. 歯磨き粉を選ぶときのポイントは?

 

A. フッ素入りは基本。年齢に合う量のものを選ぶべし。

「2〜3歳頃からうがいができるようになるので、年齢に合わせてうがい前提の歯磨き粉とそうでないものを使い分けること。虫歯予防効果の高い『フッ素入り』がおすすめです。日本製は子どもと大人でフッ素の使用量が定められているので、対象年齢に合うフッ素濃度のものを確認して使ってください。

また、歯の表面にフッ素が長時間あるほど虫歯予防効果は高まるので、『フッ素ジェル』を効果的に使うこともおすすめです。使い方は、歯磨き後に自分の歯ブラシを使ってジェルを塗り、うがいや飲食を30分控えます。歯科医院でも塗布してもらえますし、ホーム用も販売されているので、1日1回、夜の仕上げ磨きの後に取り入れるといいでしょう。乳歯や生えたての永久歯は、虫歯になっても痛みを感じづらく、気づけば進行しているケースが多いので日頃からフッ素を取り入れてしっかり予防しましょう」

フッ素入り歯磨き粉(左2つ)と、フッ素ジェル(右2つ)。それぞれ年齢に合わせてフッ素含有量が異なる。

 

 

Q. やっぱり甘いものは控えた方がいい?

 

A. おやつは「頻度」がカギ。1日2回に抑えるのがベター。

「虫歯の2大原因は『歯磨きがちゃんとできていないこと』と『甘いものを食べる頻度が多いこと』です。オーラルケアの観点では、甘いものの取り方は『量』ではなく『頻度』がカギです。口の中に甘いものがある時間が長いほど、虫歯になりやすいことがわかっています。例えば同じ10 gの砂糖を摂取するにしても、1回でまとめて食べるより、1 g ずつ10回に分けて食べる方が虫歯のリスクが高くなります。

胃が小さく、栄養補給が必要な子どもにとって間食をゼロにすることは難しいことですが、おやつが必要ならば、毎日なるべくおやつの時間を決めて、1日2回に抑えるように心がけて。だらだら食べると血糖値が下がらず、昼食や夕食が食べられなくなることにもつながりますし、食育の点からも気をつけたいですね。

ただ、チョコレートを1枚食べたら一撃で歯に穴があく、ということは絶対にありません。虫歯は数週間から数か月の悪環境の蓄積によって最終的に起こりますので、神経質になり過ぎないで大丈夫ですよ」

 

後編へつづく(2021年2月15日(月)公開予定)

坂部 潤先生

小児歯科「キッズデンタル」代表。麻布をはじめ、目黒、成城、代々木上原の都内4ヶ所で「キッズデンタル」を運営。4児の父としての経験を生かし、継続管理型の小児歯科専門医療を提供している。歯学博士(小児歯科学)、日本大学歯学部兼任講師(小児歯科学)、日本小児歯科学会認定小児歯科専門医、日本歯科矯正学会会員、UCLA小児矯正歯科客員研究員。https://kidsdental.info/

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