DATE 2021.01.20

PROMOTION

クリス智子|わたしと家族と、 家ものがたり。Vol.12

大好きなモノに囲まれて、人生のすべてが詰まった「家」。第12回は、ラジオパーソナリティやナレーションの世界で活躍をする、クリス智子さん。古い住宅を受け継ぎ、居心地を追求して大リノベーションをした、高台の森の中の邸宅へ。

改築を繰り返して、豊かさを受け継ぐ家。

神社仏閣が点在する鎌倉の市街地から少し離れた、南西の海岸。遠く江ノ島や富士山を望み、白い岩肌に波が打ち寄せる風光明媚な稲村ガ崎は、いまも昔も変わらない湘南の景勝地。海辺の景色を楽しむ車と、波を求めてやってくるサーファーたちとで賑わうフォトジェニックな海岸線だ。そんな国道から一本山の手に入れば、そこは静かな居住エリア。住宅の隙間を縫うように江ノ電が走り、小さな稲村ケ崎駅の周辺には、おいしい総菜店や手作りのハムを売る肉屋、魚屋に八百屋が軒を連ねている。

 

その昔、人力車が通れる幅に整備されたとも言われる路地が、丘の上へと緩やかに続いている。斜面の森が光を浴びてきらきらと輝き、甘やかな潮風が届く路地裏の道を、颯爽と駆け上がる1台のミニクーパー。その車を運転するのは、ベリーショートの髪がトレードマークのクリス智子さんだ。ラジオパーソナリティとして幅広く活躍し、どこまでも心地よく耳に届く声とナチュラルな感性を併せ持つひと——。

ハワイに生まれ、幼少期から引っ越しを繰り返し、これまでさまざまな場所に暮らしてきたというクリスさん。そんな彼女がたどり着いた場所は、小さな愛車がちょうど通れるくらいの路地を登った先に建つ木造の一軒家。門から家までも緩やかな坂道を登り、そのアプローチは椿や柚子、楓の木に竹林といった、たくさんの木々に囲まれている。

 

「生まれ育ったハワイも海が近くにあって、その後暮らしたのは京都でした。坂が多い横浜での生活も好きだったし、アメリカのフィラデルフィアは森に囲まれていて、鹿がやってくるような家だったんです。これまでの暮らしの中で私の中に染みついた大事なものが、ここにはちゃんと全部あるって感じるんです。いまは、鹿じゃなくてリスですけどね」と、笑って話すクリスさんの肩に、黄色の落ち葉が空からはらりと落ちてくる。海、古都、坂、そして森。一目惚れの出合いだったという古い一軒家は、彼女が知らず知らずの間に心にしまい込んだキーワードを、再び開けてくれる場所だった。

東京暮らしが長かったクリスさんは、出産をしてママになったとき、家族の生活環境を考えて海の近くへと移住した。まずは試しに住んでみようと、最初は逗子の海沿いに3年ほど暮らしたという。

 

「良かったらそのまま住めばいいし、合わなかったらまた東京にもどればいいよねっていう軽い気持ちで最初はマンション暮らしを始めました。でも海のそばに暮らしてみたら、大人のほうが大満足(笑)。もうこっちしかないよねって、次に暮らす物件を広範囲で探していたときに偶然この家に出合ったんです。『あ、ここだ』って、直感で感じました」。

モダンな外観からは想像ができないけれど、クリスさんが出合った木造の邸宅は既に80年という長い歴史を持つ。

 

「昭和15年に建てられたもので、建物の躯体は戦前のままなんです。もともと、ドイツ人の方が建てた木造の2階建てで、きっと当時の基準では、いまよりももっと自由に建てられたのでしょうね。昔の写真を見ると、いまとはがらっと雰囲気が違うんです」。

 

クリスさんとご主人、そして小学3年生の息子の3人家族は、4代目のオーナーとしてこの家を引き継いだのだ。歴代のオーナーがリノベーションを繰り返してきたように、クリスさん家族も思い描いたたくさんのアイデアで家を改装している。

エントランスを抜けた先には、大きな南の開口部を持つLDKが広がっている。ブルーグリーンのタイルが目を引くオープンタイプのキッチンは、まるで異国のバーカウンター。スツールに腰掛ければ、すぐ目の前に冷えた白ワインが想像できてしまう。そんなキッチンのすぐ脇に、ガラスで間仕切りされたクリスさんの書斎がある。

 

「キッチン横にどうしても、自分の机を置きたいと思っていたんです。書斎とのこの距離感は、私のこだわりでした。パズルをはめていくように、間取りを何度も書き出しながら、どういう風に空間を作っていこうかと家族でいっぱい話し合いました。長く暮らすなら、自分たちが好きな空間に作り変えたいという思いが強かったんです」。

 

目指したのは、仕切りのない広い空間に、ゲストも家族も自由にいられる場所。風呂や寝室など、生活の動線をすべて2階へと持っていき、使い方を分けたことで、1階の大空間もさらに際立った。

リノベーションの真骨頂は、家の中央に増設したスキップフロアの階段。既存の1室をまるごとくり抜いて中央に階段を、まわりには大きな本棚を造作した。本棚には子どもの絵本や夫婦の蔵書の数々、写真もたくさん飾られて、ステップを上がるごとに家族の思い出を感じられるようなぬくもりに満ちている。さらに、窓から見える景色が大好きというクリスさんは、スキップフロア部分に印象的な北窓を設けた。スクエアに切り取られた窓からは、瑞々しく苔むした裏庭の岸壁が伺え、それはまるで絵画のような美しさだ。

階段を登った先の2階部分には、ゲストルームにもなる和室、寝室に子ども部屋、バスルームなどがある。子ども部屋の高い位置に切り取られた窓からは、…

※「重量木骨の家」ホームページへ遷移します。

 

クリス智子

ラジオパーソナリティ。ハワイに生まれ、幼少期に京都、フィラデルフィア、横浜など日本とアメリカの各地の文化を色濃く感じる環境で育つ。上智大学比較文化学部を卒業と同時に、東京のFMラジオ局J-WAVEにてナビゲーターデビュー。J-WAVEでの出演番組に『GOOD NEIGHBORS』(月〜木13:00〜16:30)、『CREADIO』(金26:00〜26:30)がある。ラジオのパーソナリティのほか、テレビのMCやナレーション、トークゲスト、朗読や音楽、執筆など幅広く活躍する。

LATEST POST 最新記事

第3回 : 教育の多様性とテクノロジー
第2回:コンヴィヴィアルな家族のあり方
第1回:多様な生き方、暮らし方
トレンドのくすみカラーが満載。軽さも魅力の村瀬鞄行「ボルカグレイッシュ」【2023年入学ラン活NEWS】