DATE 2019.09.30

写真展『When I was seven.』川内倫子さんインタビュー。「子どもが気づかせてくれたこと」

今年誕生から40周年を迎えた〈アニエスベー〉のカーディガンプレッション。写真家・川内倫子さんがカーディガンプレッションを子どもたちに着せ、自身が生きてきた40年の時と重ね合わせて撮りおろした写真展『When I was seven.』が〈アニエスベー ギャラリー ブティック〉にて10月20日(日)まで開催中。

 

写真家であるとともに一児の母でもある川内倫子さん。Fasuでは写真で綴る子育てコラム「そんなふう」を連載。
今回は写真展の内容と合わせて、子どもについての考え方・写真家としての想いについて話を聞いた。

〈アニエスベー〉のデザイナーであるアニエス・トゥルブレは、是枝裕和監督の映画「誰も知らない」でビジュアルを撮りおろしていた川内さんの写真がとても印象に残っていたそう。その経緯があり、今回カーディガンプレッション40周年記念に日本人のフォトグラファーに展示をお願いしたいと思った時、自然と浮かんできたのが川内さんだった。

 

「アニエスと初めてお会いしたのは2004年のアルル国際写真フェスティバルの時でした。アニエスがアルルに別荘を持っていて、そこに招待されて。彼女は人生の先輩ですね。ファッションのクリエーターとしてももちろん素晴らしいんですけど、実業家としても才能があって。両方できるっていうのがすごいなと。それからアートに対してもとても理解のある方で、たくさんの若手のクリエイターをサポートされていますし、人として大きな方だなと思います」

写真を撮る時、制限は設けられなかった。そのため普段の作品撮影と差異なく自由な撮影ができたという。被写体の1人は川内さんの娘さん。もう1人は7歳の女の子・かおるちゃん。娘さんは普段の生活の中の自然な様子を、かおるちゃんは自身の7歳の頃と重ね合わせて、後ろ姿を追いかけた。
写真の中でまるで対比するかのように、娘さんは淡い色、かおるちゃんは鮮やかな赤のカーディガンプレッションを纏っている。

 

「娘は直感で淡い色がいいなと思って。いつも撮る写真の色調は淡い色が多いので、自分の好みに合わせました。
女の子はランドセルのイメージが強いですね。自分が赤いランドセルを背負っていたっていうイメージが結びついた気がしています」

写真のトーンに合わせて服をインスピレーションで選びとっている様子。時にはファッションクリエイターの作品が、自身の精神に刺激を与えることもあるそう。

 

「ジャンルは違うけど同じ「もの」をつくっているクリエイターとして、作品を見ると刺激を受けます。しかもファッションは流れが早い。毎年SS/AWのコレクション発表がありますよね。それを毎回されているのはすごいなって」

子供が生まれてからは、子育てや子どもの存在が写真や創造性・精神に影響していることを感じることもあるとのこと。

 

「子供が生まれる前のモチベーションって孤独感みたいなところがあったんです。自分で追い込んでたところがあるというか。全部を写真に捧げないといけないってストイックに思ってた。でもそれだとバランスを崩して、人生も破綻してしまう。一人でしか作品を作ることはできないと思っていたけど、家族がいても作品が撮れているというのは新たな気づきでした。むしろ家族の存在がある今の方がずっと作り続けていけそうな感じはありますね」

写真展のタイトル『When I was seven.』にちなみ、娘さんが7歳になるくらいの近い将来に、写真家として新たに挑戦していきたいことを聞いてみた。

 

「人のために仕事をするべきだなと改めて再認識しました。意識的に誰かの役に立つようなものを残していけたらいいなと思います。子供を持つと自分が大人にさせてもらえますね。子どもたちが生きる未来のために何ができるかということを具体的に考えていけたら。社会的な活動もさることながら、作品としてそういうものを残していくことを目指したいですね」

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