DATE 2019.11.15

第41回:tupera tupera 中川敦子より
サンタのプレゼントは何が出るかわからないドキドキ感を大事にしたい。

女性は子どもを産むとみんな「はは」になる。当たり前のことだけど、みんなそれをどう受け入れ、日常を送り、自分の生き方を新たに手にするのでしょうか。この連載では、クリエイターとして活躍する二人の「はは」に手紙をやりとりしていただきます。それぞれの悩みや愚痴、ときに葛藤、あるいは日々の喜びから、あなたや私の「はは」としての生き方のヒントがみつかるかもしれません。人気絵本作家であるtupera tuperaの中川敦子さんとサルビアを主宰するデザイナーのセキユリヲさんによる往復書簡をお届けします。

中川敦子さんからセキユリヲさんへ。

 

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セキユリヲさま

 

こんにちは。寒くなってきましたが、お元気ですか?
私は、年末と来春から新しくはじまる展覧会の準備でバタバタした日々を過ごしています。涼しくなってきた頃に、半分衣替えをしたのですが、セーターはまだ出してなくって、引き出しにはまだ半袖も入っている状態。家の中の片付けもあちこち気になっているけど見て見ぬ振り…主婦業おいてきぼりです。
でも、忙しいのは言い訳で1時間でも早く起きれば、いろいろできるのはわかっているのですが、寒くなってきて余計にぬくぬくお布団から出られません。

 

今朝は、息子が家を出る前にTVでどしゃぶりの雨の映像を観ていて「早く行かないと遅れるよ!」と声をかけたら、慌てて玄関まで行き、長靴を履いて出て行こうとしました。「え!? 今日は晴れているよ!」と言ったら「間違えた〜」と大笑い。TVでも絵本でも、自分の想像の中で遊んでいる時は、子どもはその瞬間ごとにその世界を生きてるんですよね。大人になると、そこまでは入り込めない。羨ましいなあと思います。

 

そんな息子は今回のワールドカップで完全にラグビーにはまりました。みんなでTVを観て応援している間、セロテープをぐるぐる丸めていたので、もったいないなあと思いつつ、何か作りたそうなので見守っていたら小さなラグビーボールが出来上がり、試合が終わる頃には選手が3人もできて箱に入れたら立派なラグビースタジアムになりました。「いや、すごいのできたけど、試合ちゃんと観てないじゃん!」と思ったのですがその後、何試合か観ている間にルールもちゃんと覚えていたのでびっくりしました。

 

うれしくなった父ちゃん(カタチからはいるタイプ)が、ラグビーボールとユニフォームを買ってきたら、大喜び! 今は家の中で毎日スクラムをしたり、トライしたり走り回っています。学校や学童でも、友達を誘ってラグビーごっこをしているようです。小学生男子といえば、今までは野球やサッカーが主流で、ワールドカップ前には想像できなかったですよね? 子ども達がラグビーをして遊ぶなんて。

 

息子は小さい頃から、怒ると頭から突進してくるようなタイプで、体もけっこうがっしりしているので、ラグビーは案外向いているのかも! と思い、習えるところがあるかなあと調べてみたら、近くに子どものラグビーチームをみつけました。今度の日曜日に体験練習に行ってくる予定です。また、どうだったか報告しますね。

 

でも、新しい習い事をはじめるとき、一番ネックになるのは親がどれだけ送り迎えをしたり、試合について行ったり、その時間を確保できるのか? というところですよね。
週末にイベントなど仕事も多いので、それが不安です。

 

でも、セキさんも大人の部活動をはじめたことだし(蜜蝋の匂い、想像しただけでうっとりします!)なんとか頑張って、息子の今「やってみたい!」という気持ちを大事にしてあげたいなあと思っています。

 

セキさんは小さい頃、何か習っていましたか? 私は絵と書道を習っていたのですが、お絵かき教室の先生は、草木染めの作家でもある素敵なおばあさまで、「すらばしい!」というのが口癖でした。習字の先生はおじいちゃんで、私を見るといつも「あちゅこはあちいのお〜」と言って笑っていたことを、手紙を書きながら今、思い出しました。

 

最近は、夕方にはすっかり暗くなってしまうし、一日が早く終わってしまいますね。そして、あっという間に今年のカウントダウンも聞こえてきて、町にはイルミネーションも増えてきました。セキさん家族のクリスマスは、毎年どんな感じですか?

 

我が家は、巡回している展覧会が次は京都での開催。最終日がクリスマスなんです。サンタさん、バタバタしている間にうっかりプレゼントを用意するのを忘れてしまいそう! 毎年、サンタさんに手紙を書いて、それが届くというお家もありますが、我が家は、サンタさんからのプレゼントは何をもってくるかわからないことになっています。インターネットショッピングが当たり前になり、自分が注文したものがクリスマスに届くというのは、なんだか味気ないなあと思うのです。

 

お姉ちゃんは、もうサンタクロースを信じてはいないけれど(弟がいるので、信じているお芝居をしてくれていますが…)、紙袋をビリビリやぶいて何がでてくるかわからないドキドキを大事にしたいです。開けた時、正直にちょっとがっかりした顔になる年もありますが。

 

クリスマスの話題は、まだちょっと早かったですね(笑)。いいクリスマスが過ごせるよう、年末までもうひと頑張りです。

 

ではでは!

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次回更新は12/6(金)の予定です。salvia デザイナー セキユリヲさんからのお返事です。

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