DATE 2020.06.29

Vol:3「楽しく」「幸せを感じること」から取り入れる。フランスで学んだモノとの新しい向き合い方

2030年のゴールを目指し、17の分野別の目標と169項目のターゲットから設定された国連による持続可能な開発目標=SDGs。今回は、SDGsイベント「エシカルマーケット」等を手がける、フリーランスPRの鈴木有希さんと目標の12にある「つくる責任、つかう責任」について考えます。

 

フランスへの留学経験を持つ鈴木さんは、帰国後、フランスのオーガニックスキンケアブランドで働き始めました。そこは、オーガニック先進国フランスで誕生した、歴史と権威あるオーガニック組織“Nature et Progrès(ナチュール・エ・プログレ)”の会員に認定されているブランドで、大量生産をせず、人にも環境にも配慮した製品作りを徹底していたそう。仕事で出会ったエシカルな発想やビジネスに感銘を受け、これが自分の進むべき道だ、と昨年からフリーランスPRとして活動することを決心。無理せず、楽しみながら地球のことを考えたいという鈴木さん。その根底にはフランスで学んだ、「人の幸せは繋がりから生まれる」という発想にありました。

――今から15年前。私はフランス・リヨンへ留学しました。初めて見るフランスの景色にとてもワクワクし、同時に豊かな人生を送るためのエッセンスを知りました。それは「人の幸せは繋がりから生まれる」ということでした。

 

それは一体どういう事なのか。市場=Marché(マルシェ)の例を挙げますね。フランスの日常生活に深く根付いているマルシェは、生産者と必ず会話をして買い物をします。勝手に取ってお金だけ払ってバイバイ、なんてことはできません。「Bonjour!(こんにちは)」「Comment ça va ?(元気?) 」という会話から、目当ての食材の美味しい食べ方まで教えてくれたりします(「このあと、一緒にランチでもどうだい!?」なんて冗談も飛び出すことも!)。客と生産者は対等な関係なので、とてもカジュアルな会話が生まれるんです。マルシェに買い物をしに行っているのに、お店の人と会話している時間の方が長いのでは? と思うことがあるほど。そして笑顔で「A bientôt (またね)!!」と後にするのです。

 

質問です。

スーパーで、一人黙々と品定めをして買う食材と、賑わったマルシェで生産者と会話して選ぶ食材、どちらの方が、心踊りますか? きっと、後者ですよね。それは単に「モノを買う・消費する」という行為よりも、そのモノを作ってくれた人と会話をしたり、そのコミュニティでの繋がりに価値を見出しているからなのだと思います。「繋がりを得て幸せであると感じること」。これがこれまでフランスと関わり私が学んだエシカル、サスティナブルのベースになっています。

 

私たちはこれまで、限りある資源を使い続け消費し続けてきました。その行為に、何の問題も感じなかったのは、その資源のストーリーを知る機会が少なく、繋がりを得ることができなかったし、何よりそのストーリーを知ろうとしなかったからではないでしょうか。だから商品を使い捨てることに対し、何も抵抗が無かったのだと思います。その使い捨てという行為に、何かが犠牲になっているかも知らず、崖っぷちに辿りついてしまったのが今なのでしょう。非常に危機感を覚える状況を迎えているのは事実ながら、けれど「絶対にオーガニックじゃないといけない!」とか「ペットボトルを買うなんて持ってのほか!」と急にエココンシャスなくらしと気持ちに舵を切ると、結果ばかりに目が行き「繋がり」から得られる「幸せ」や「楽しさ」を見失ってしまいます。

 

SDGsは排他的であってはいけないと、私は考えます。ここは私のイベント企画では最も重要視しているところ。誰も置いてきぼりにしない。それがSDGsの前身MDGsとの差です。右向け右ではなくて、自分自身が「幸せ」「心がワクワクする」と感じるストーリーを持つ商品やサービスを納得して生活に取り入れるだけでいいんです。自分が楽しくないと思うことは、無理しなくても大丈夫。他のことで、何か自分が出来ることを探せばいいだけです。サスティナブルは「持続可能な」という意味。私たちが環境のために持続できることを、まず取り入れ、続けることが大切だと思います。

 

  鈴木さん提案:「楽しく」くらしに取り入れられる3つのサスティナアイテム

 

気軽に無理なく継続でき、楽しい。そんなサスティナライフを送るべく、鈴木さんがおすすめする、毎日の暮らしに役立つアイテム3つ。貴重な天然資源を守るために、日々の生活の中ですぐに取り入れられるのは、こんなこと。

 

1:〈aco wrap(アコラップ)〉

5色3サイズにて展開。 S 13cm /¥1,200、M 19cm /¥1,500、L33cm /¥2,650(aco wrap)

まず、おすすめしてくれたのは、みつろうから作った天然ラップ。〈aco wrap(アコラップ)〉。

「オーガニックコットンの生地にミツバチの巣から採取したみつろうのオイルを染み込ませて作った天然素材の食品用ラップです。みつろうなのでちょっとペタッとしています。いいところは、陶器や木の器にもつきやすく密閉性が高いところ。また、みつろうとホホバオイルは抗菌性と天然の保存性があるので、そのまま野菜の切り口に巻いて保存も可能。食品をフレッシュなまま保てます。大きいサイズだと、形をお皿みたいにして、野菜くずをまとめて入れておき、ある程度たまったら、それで野菜スープを作ったりしています」。半年〜1年ほど洗って繰り返し使え、最後は土に還るそう。

こちらの天然ラップは、京都府亀岡市にある企業が手がけたもの。

「ヴィヴィッドなカラーの天然ラップが多いなか、〈aco wrap〉は植物や泥などから染めた自然の色味で展開されていて、そこも気に入っています。食卓にすごく馴染みます」ただし、こちらの天然ラップは、熱に弱いため、電子レンジや食洗機での使用はNG。「だから、プラスティックのラップを使うことももちろんあります。天然ラップを併用することで、プラスティックの使用頻度を下げる意識を持てればいいんじゃないかなと思います」。

 

2:〈LFCガーデニングセット〉

ガーデニングセット ¥3,480(LFCガーデニングセット/ローカルフードサイクリング TEL:092-402-1575)

最近トライし始めたという、ビギナー向けコンポスト体験キット〈LFCガーデニングセット〉。1日300gの生ゴミを3週間投入すると、それが栄養価の高い堆肥へと変わる。堆肥ができたら、そのままプランターとなり、野菜を育てることができるという優れもの。

「手順も、生ごみを“入れる”“軽く混ぜる”“フタをする”のみで簡単。毎日捨てていた生ごみをコンポストに入れるために少し小さく切る。そうすることで、微生物が分解しやすくなる。そう思うと、切る作業も楽しく嬉しいものに。生ゴミを減らして、野菜を作る。そこで育てた野菜を食べ、そしてまたコンポストする……そんな食の循環を感じることができます。我が家も5歳の息子がいますが、子どもと一緒に学びながらできるのもいいですね」。

 

3:〈洗たくマグちゃん〉

洗たくマグちゃん(洗濯容量~8kg)¥1,800(宮本製作所 TEL:0120-113-683)

最後に、資源の中でもっとも考えていきたいと言う「水」のこと。

「いろんなことを学んでいく中で、水は本当に貴重だなと思うようになりました。料理、お風呂や洗濯、たくさんの水をわたしたちは使っています。だから、できるだけ生活排水で水を汚さない、きれいに使うことに意識を向けたいと考えています」

鈴木さんが洗濯で使用している〈洗たくマグちゃんはメッシュポーチの中にマグネシウムが入っており、洗剤なしで、お洗濯ができる。「マグネシウムの効果で皮脂よごれを落とし、消臭力や防菌力にもある。洗濯機にぽんっと入れるだけでいいのがとにかく簡単でいいです。使い終わったら、洗濯物と一緒に干しておけば、約300回程度くりかえし使えます。使い続けていくと、洗濯槽のカビや汚れも落ちちゃいます。これなら水を汚さずに、機能性の高いお洗濯ができる。さらに、使い終わったら中身のマグネシウムをとりだして、観葉植物などに与えると肥料として再利用もできます」。

 

便利だから、安いからと、今の生活のことだけ考えて物を選ぶより、自分自身が「つかう責任」の当事者であることを考えていきたい。よりよい選択が、これからの家族にとって当たり前のことになる未来を目指し、自分たちのできる範囲で、楽しく、幸せを感じることから、サスティナライフをはじめてみるのはどうでしょうか。

 

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