〈tupera tupera〉パリの児童図書サロンに訪問!ワークショップレポート
『しろくまのパンツ』(ブロンズ新社)や『パンダ銭湯』(絵本館)で人気の〈tupera tupera〉は、亀山達矢さんと中川敦子さんからなるアートユニット。2017年11月末の約1週間、亀山さんはパリに滞在しました。パリ近郊の町、モントルイユで毎年開催される児童図書サロンに招かれたのです。
旅の主目的である児童図書サロンは、パリ市の東側に位置するセーヌ=サン=ドニ県の町モントルイユで毎年秋に開催される絵本フェスティバル。出版社がブースを出して本を販売するイベントですが、討論会や展覧会が開催されるなど、子どもの本に関するいろいろなイベントがあります。来場者の多くは親子連れや学校単位で訪れる子どもたち。話題の絵本をまとめてみられるとあって、来場者数は 17万人を越えるそうです。
会期中には 150人を越える作家のサイン会やワークショップがあります。招待される作家のほとんどはフランス国内の人たちで、外国からはほんのわずか。しかも日本の作家が招待されたのは約 15年ぶりなのだとか。〈tupera tupera〉は、フランスでも注目されている作家なのです。
現在、フランス語で刊行されている絵本は『かおノート』、『しろくまのパンツ』、『パンダ銭湯』、『あかちゃん』の4冊。「どこまでぼくたちの絵本が知られているのかな?」。ドキドキする気持ちで亀山さんはトーク、ワークショップ、サイン会を行いました。
〈tupera tupera〉の絵本世界はどこでも伝わる!
トークでは、〈プチバトー〉などフランスのブランドとの仕事の画像を見せて自己紹介の後、続いて絵本を読んで、制作の過程やアイデアを説明します。最初は『やさいさん』。土から葉っぱだけが出ている野菜が何であるかを考える絵本です。「レギューム レギューム ケル・レギューム?(やさいさん やさいさん だあれ)」と、一夜漬けで覚えたフランス語で読み始めると参加者は大喜び。
ワークショップでは、子どもたちが大小の箱に、色紙やテープ、シール、マジックなどを使って思い思いの顔を描き、それを積み上げて『はこはこトーテムポール』を作りました。「素材がフランスらしく、色鮮やかでポップな模様だったり、種類が豊富。箱もステキでした。みんなとても独創的な顔を作ってくれました」よ亀山さん。
2つの出版社のブースでサイン会も行いました。『パンダ銭湯』フランス語版の出版社〈アルバン・ミッシェル〉のブースでは、パンダに扮してサイン。日本で銭湯に行ったことがあるという女性たちやイタリアからやってきたイラストレーターなど、ヨーロッパでの人気も実感。
亀山さんが購入した絵本の一部を紹介。「フランスの絵本は、とってもカラフルで、デザインセンスがいいですね。サイズや形がいろいろだし、ポップアップ絵本が多くて驚きました。造本とアイデアが合致している絵本をつくっていきたいとあらためて思いました。サロンには古本コーナーがあったのですが、古い絵本は味わいある絵が多くて、大いに刺激をもらいました」。