自分の幸せを掴んだ“女の子”が主役。日本と世界から厳選した「女の子の昔話えほん」シリーズが登場
桃太郎に浦島太郎、金太郎、花咲かじいさん……。男性が主人公であることが多い、昔話。女性が主人公の場合も、かぐや姫など、控えめでおとなしい女性像のケースが多いだろう。
でも、実はこれまで日の目を浴びてくることはなかったけれど、自分自身で幸せを掴んだ様々な女の子が主人公の昔話は、これまで数多く語り継がれてきたという。
今年発刊されたばかりの「女の子の昔話えほん」は、そんな知られざる物語をまとめた注目の絵本シリーズだ。
手がけたのは、本屋大賞で幾度とノミネート歴を持つ人気作家の中脇初枝氏。筑波大学在学中に民俗学を専攻し、日本各地で昔話を聞きとり、再話して語ってきた彼女がこれまでの研究をもとに、日本・そして世界から女の子が主人公の昔話を厳選。今年1月〜3月の間に5作品をリリースし、好評を博している。
今回はその気になる5作品を一挙ご紹介!
01. 『ちからもちのおかね』
高知出身でもある中脇氏が想い入れ深いと語る、高知発祥の昔話。主人公はわずか3歳にして大きな相撲取りを追いはらってしまうほど、とても力持ちの女の子・おかね。やがて腕利きの猟師として成長したおかねが、天狗や化け物を相手に大活躍する姿を描いたパワフルなストーリー。
02. 『わたしがテピンギー』
両親が相次いで亡くなり、意地悪な継母と暮らすことになったテピンギー。ある日知らないおじいさんの召使いにされそうになり、逃げるために友達の家を回りあることを頼む……。賢さと友達の助けで困難を乗り越えたテピンギーの姿に、読み手は勇気を貰えるはず。日本では珍しい、カリブ海の国・ハイチにつたわる昔話。
03. 『マーヤのさるたいじ』
奄美諸島の沖永良部島で語り継がれてきた『マーヤのさるたいじ』は、 「さるかに合戦」と「桃太郎」を1つにしたような物語。川で拾った桃の種から大きな桃の木を育てた主人公のマーヤは、悪賢い猿に騙され美味しい桃を盗られてしまう。マーヤは怒って、道中で出会った仲間とともに猿退治へ! 決戦の行方が気になるドキドキハラハラの一作。
04. 『花をさかせたがらない小さなキャベツ』
主人公は、お手伝いをしたくない女の子と、お手伝いをしてもらうためにどこまでも粘り続ける母の2人。お母さんは女の子にキャベツの水やりをお願いするも断られてしまい、今度は子犬や小枝、火や水と、色々なものに協力を頼んでいく。最後にお母さんが頼みに行くのは……!? 予想がつかない展開に親子で引き込まれる、フランスの昔話。
05. 『おだんごころころ』
転がるおだんごを追いかけて、鬼の家に来てしまった女の子。ところが、鬼たちはおにぎりを気に入り、大喜び! 最終的には女の子が宝を持ち帰る様子を描いたこの物語は、名作「おむすびころりん」を想起させる。 布絵と刺繍で描かれた他にはないビジュアルも魅力的。
勇敢で賢く、どんな状況でもへこたれない強い精神をもつ主人公の女の子たちは、男女平等がより一層叫ばれる今の社会のムードにもマッチする。
お気に入りの1冊を探すもよし、全作品揃えるもよし。男の子にも女の子にも読み聞かせたい、「女の子の昔話えほん」シリーズにご注目を。