DATE 2018.11.28

子どもと一緒に料理をしてみよう ― 食べることをもっと好きになろう:第2回

子どもの豊かな食生活のために、食事について学ぶコラムシリーズ。食事に消極的な子どもは、料理に参加させてみましょう。

子どもと一緒に料理をしてみよう

朝起きてきた子どもに、いきなり朝食を出して「はい、これ体に良いから食べて!」と言っても、なかなか素直に食べてくれないのが難しいところ。夜早く寝かせる、朝早めに起こして時間に余裕を持たせる、など親ができることをしても、朝起きたばかりには食欲がわかない子が多くいます。

食欲がわかない時に、成長のためにと無理矢理食べさせようとするのは逆効果。機嫌が悪くなってしまうこともあります。食べることにあまり興味がない、食べることが好きではない子どもには、料理を作る行為に参加してもらい、食に慣れ親しんでもらうのが効果的です。

ちぎる:まずはキャベツなどの葉野菜をちぎって、食材の感触を知ることから。
振る:袋に調味料、野菜を入れて振るだけで簡単サラダの完成。

料理を作る行為というと難しいイメージがありますが、つまりは「お手伝い」。買い物を一緒にする、キャベツなどの葉野菜を手でちぎる、袋に切った野菜と調味料を入れてしゃかしゃかと振る、小さな子でもできるこれらのことも立派なお手伝いです。少し大きくなってきたら、にんじんやじゃがいもなどの扱いやすいものを切ったり、おにぎりをにぎってみたり、盛りつけ、食卓の準備などもできるようになります。

切る:食材を切ることができるようになるとぐっと食への関心が深まります。

子どもは楽しい記憶と密接に結びついている食べものを、好きになる傾向があるとされています。普段は食べたがらないにんじんやピーマンも、一緒に切ったり、炒めたりしたら、喜んで食べることも。また、接する機会が多くなればなるほど、その食べものに対する抵抗感は自然と減っていくとされています。食べムラがある、何を作っても食べてくれない、好き嫌いが激しい、そんな子にはお手伝いを通してまず食に関心を持ってもらいましょう。

鍋に入れる:鍋に入れた食材が、どのように変化するかを観察させるのも楽しい。

料理は、五感をフルに活用して行う作業。ちぎったキャベツの触感、目玉焼きを焼いている時の香りや音、これらが子どもたちの感性を刺激してくれることでしょう。皿に料理を盛りつけることで、色彩のセンスも培われます。

お手伝いを通して自己肯定感を高める

子どもに食べることを好きになってもらうのに効果的な調理などのお手伝いは、他にもたくさんの良い効果があることが分かっています。国立青少年教育振興機構『「青少年の体験活動等に関する実態調査」報告書』によると、調理や配膳などのお手伝いをしている子ほど道徳観や正義感が高い傾向があり、さらには東京都教育委員会が独自に行った「児童・生徒の学力向上を測るための調査」によると、「家の手伝いや地域の役に立つことをしていますか」という問いに対して、「続けてしている」「ときどきしている」と回答した児童の平均正答率は「1、2度したことはある」「まったくしたことがない」と回答した児童の平均正答率よりも高くなっているという傾向があることが分かりました。

焼く:火の怖さを覚えたら目玉焼きや、野菜炒めなど簡単なことから調理させてみて。
にぎる:普段は口に入れるだけのごはんの感触を知り、五感を使うことができます。

子どもはお手伝いをして、家族に感謝されることにより、感動と達成感を得られます。結果、より自分に自信を持てるようになり、自己肯定感が高まります。また、このお手伝いはどのように工夫したらもっと上手にできるのか、と考えることにより、段取りを考えるクセが自然とつくようになるのです。「よく手伝う子」は「あまり手伝わない子」に比べ、自己評価が高いという調査結果が出ていることからも分かるように、子どもにとって食事を作る行為(またはその他の家事)に参加することは、良い影響ばかりです。

買い物をする:このおかずを作るにはどんな食材が必要か相談しながら買い物を。

まずは簡単なことから始め、子どもが慣れてきたら包丁や火を使わせるなどステップアップさせていくと、より達成感を感じられるでしょう。「子どもを参加させると余計に時間がかかる」という方は、自分に余裕がある休日の朝などに、一度試してみるのがおすすめです。「せっかく作ったのに食べてくれない」というイライラから解放され、子どもがみるみる成長していくことに気づくはずです。

盛りつける:家族の分の盛りつけまですると、数や量の勉強が同時にできます。
準備をする:料理に合わせたお皿やカトラリーを用意することで想像力を育めます。

※「子供のお手伝い」調査より(東京成徳大学深谷昌志教授と花王株式会社生活者研究センターの共同調査)

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