衝撃のラストに涙が止まらない。映画『ルイの9番目の人生』
難産で死にかける、シャンデリアが落ちてきて大ケガ、コンセントで感電、崖から落ちて瀕死…。9歳という若さで9度死にかけた少年ルイ。彼がなぜここまで不運な運命をたどることになったのかを描く心理サスペンス『ルイの9番目の人生』が、1月20日から公開される。
この映画のおもしろさは、ただのサスペンスでなく、ファンタジーやホラー、ヒューマンドラマなど多彩なジャンルが凝縮されていること。そして衝撃のラストでは、涙が止まらない真実を突きつけられるのだ。
主人公は、9歳の少年ルイ・ドラッグス。誕生日に家族で訪れた海辺のピクニックで、崖から落ちて瀕死の状態で病院に運び込まれた。一度は死亡が確認されるが、遺体安置室で息を吹きかえすルイ。しかし昏睡状態のまま、意識は回復しない。母ナタリーがうろたえる中、父ピーターは事故後失踪する。地元警察は事件性を疑い、ピーターの行方を探すのだった。
ルイはこれまでに何度も死にかける大事故に遭ってきた。食中毒も日常茶飯事だ。そんなルイを救うために、小児神経科医のパスカルはルイを調べ始めるが、ルイが精神科医ペレーズのセラピーを受けていたことを知る。ルイとペレーズのやり取りから、父ピーターが元ボクサーで大酒飲み、暴力を振るっていたこと、ルイがペットのハムスターを殺したことがあることなどを知った。ルイが崖から落ちたのはピーターによる虐待か、それともルイが自虐行為を行ったからなのか。
そんな中、医師パスカルは謎の悪夢に悩まされ、夢遊病になる。ナタリーに謎の警告文が届くなど、眠り続けるルイのまわりで不可解な出来事が起こる。偶然とも思えないこれらの現象は、目に見えない“ 何物か ”の仕業なのか。パスカルはペレーズの催眠療法で、謎の行動や不可解な出来事を解き明かそうとする。ルイはなぜ9度も死にかけたのか、そしてルイは一体何者なのか? パスカルが語る言葉から、衝撃の真実が明らかになる。
映画館でぜひチェックしたいのが、ファンタジックでスリリングなビジュアルだ。オープニングやエンディングに使われているクラゲが漂うシーンは、ルイが転落した深い海の中と彼の心の闇を幻想的に表現しているように感じる。パスカルの幻覚に登場する“ 水びたしのモンスター ”も印象的で、ホラーとサスペンスの要素が高まる。ミステリアスな登場人物も相まって、先の読めないストーリーへの期待感を高めてくれる。
観た後に、どんな感想を持つだろうか。サスペンスとしても素晴らしく、「おもしろかった!」と思う人が多いだろうが、個人的には「子どもに求めすぎる母になっていないか」と不安に襲われた。衝撃のラストに心ふるわせながら、恐ろしいほどの「母への愛」に打ち拉がれる。みなさんはどうだろう。今年は『ルイの9番目の人生』で初映画を楽しんでみてほしい。