DATE 2019.11.26

映画『小さい魔女とワルプルギスの夜』。間違ったことに「NO!」を言える強さを

子どもからの指摘に、ハッとさせられることがある。「黄色の信号は渡らないよ」「ちゃんと2列に並んで」とか、ルールをきちんと守って、正しいことを真っ直ぐに言える子どもはすごい。他にも、ニュースで取り上げられる出来事や事件にも、「なぜこれがすごいの?」「どうして悪いの?」「この言葉はどういう意味?」と質問をされることがあるが、ぼんやりとしか理解していないため、きちんと説明できないことがある。

 

大人になると、輪郭だけを捉えて分かった気になっていることがよくある。本当なら「おかしいぞ」ということに気づかなかったり、まあいいかと流して迎合してしまうこともある。自分が本当はやりたくないことを、「しようがないな」と受け入れてしまうことも度々だ。

それが大人の通過儀礼だとしたら悲しいし、間違っていると思う。間違ったことに「NO!」を、やりたくないことにも「NO!」を言えることは、大人はもちろん子どもにとっても重要なことだと思う。

 

映画『小さい魔女とワルプルギスの夜』にも、魔女界におけるルールを覆し、正しいことを突き通す“小さい魔女”が生き生きと描かれている。この映画は、ドイツで大ヒットを記録した映画『ハイジ アルプスの物語』のチームが再結集して製作された作品で、原作は世界的児童文学の『小さい魔女』。世界47の言語に翻訳され、60年間愛されて続けている名作だ。

 

主人公の“小さい魔女”は、127歳のまだまだ未熟な魔女。森の中の小さな一軒家に、カラスの親友アブラクサスと暮らす。彼女は、年に1度、ブロッケン山で行われる魔女の祭り“ワルプルギスの夜”に参加して踊るのが夢だ。

半人前の彼女に、まだ祭りの招待状は届かないが、こっそり祭りに忍び込んで踊ろうとする。しかし、ルンプンペルおばさんに見つかり、つるし上げられてしまう。だが一番大きな魔女に「来年の祭りの日に、良い魔女になるテストに合格したら踊ってもいい」と約束してもらった。大きい魔女から渡された魔法辞典に載っている呪文7892個も覚えなくてはいけない。 小さい魔女は全ての呪文を覚えて、魔女のテストに合格することができるのか。

 

ここでポイントになるのが“良い魔女”の定義だ。“良い”=正しいという考えは人間の感覚で、魔女にとっての“良い”は、人間とは真逆の“悪い”という意味。人間に悪さやいじわるをして困らせたりするのが、“良い魔女”の条件なのだ。

小さい魔女は心が優しく、小さい子どもを助けたり、人間を喜ばせることに幸せを感じている。魔法を使うのもそんな時ばかりだ。魔女の掟とは正反対の感覚を持つ彼女は、それをどう乗り越えるのか。小さい魔女の勇気ある決意をぜひチェックして欲しい。

 

個人的には、大きな魔女たちの個性的なキャラクターがとても面白いのでおすすめ。ホラーな魔女から下品な魔女まで、「魔女って、こんなにいろいろな種類があるんだ!」とワクワクしてしまう。大きな魔女軍団が、山の中で踊りまくるダイナミックなシーンもお見逃しなく。

 

原作のファンはもちろん、原作を見ていない人も、新米魔女のキュートな成長物語を、親子でぜひ楽しんでみて。

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