SEPTEMBER / チョウセンゴミシ
優しく心に灯る
秋の知らせ
数年前に奈良の「くるみの木」に伺った時に飲んで、あまりに香ばしく豊かな味わいが忘れられない胡桃を殻のまま漬けたお酒。以来毎年自宅で作り、子どもを寝かしつけしたあと、寝る前にちびちび一人で味わうのが至福の時間です。漬け込み酒といえば、漬けたもののまだ試飲していないものがもう一つ。生薬として知られ、ジャムにお酒にと使われている植物『チョウセンゴミシ(朝鮮五味子)』のお酒です。苦味、酸味、辛味、甘味、塩味の5つの味を持ち備えることからついた名前なんだとか。
味や効能もさることながら、ぷりぷりとした形状がとても愛らしい『チョウセンゴミシ』。今回は、まだ真っ赤になる前の少しアンニュイな色合いに心惹かれました。9、10月頃になると赤く熟する実はどしっと重く、花瓶に生ければ、重力で垂れ下がるフォルムがなんとも可愛らしく魅力的。キッチン周りや少し高め棚の上にシンプルに飾るだけで、画になる実の色と成り方です。ただ“花材”として花瓶にいけるだけでなく、クルクルっとリースを作るようにラフに巻いて壁にかければ、お部屋が一気に秋めいてきますよ。
チョウセンゴミシ – CHINESE MAGNOLIA
日本、朝鮮半島、中国などに分布するツル性落葉樹。5月ごろに淡黄白色の花を咲かせ、花が終わると、ぶどうの房のようにして赤く丸い果実をつける。果実は「五味子(ごみし)」と呼ばれ、観賞用の他、漢方では鎮咳薬、去痰薬として用いられる。
〈HOW TO POINT〉
実が重たいので、挿しても倒れない程度の重みのある花器をセレクト。少し高めの棚や窓際などに置いて、垂らすように生けると一層画になります。花瓶に挿す他、長いツルを生かして、ラフにクルクルっと巻いて壁にかけるのもオススメ。