DATE 2019.03.15

第25回:tupera tupera 中川敦子より
子どもと過ごす1日1日が、私たちを親にしてくれる。

女性は子どもを産むとみんな「はは」になる。当たり前のことだけど、みんなそれをどう受け入れ、日常を送り、自分の生き方を新たに手にするのでしょうか。この連載では、クリエイターとして活躍する二人の「はは」に手紙をやりとりしていただきます。それぞれの悩みや愚痴、ときに葛藤、あるいは日々の喜びから、あなたや私の「はは」としての生き方のヒントがみつかるかもしれません。2月からは、人気絵本作家である〈tupera tupera〉の中川敦子さんとサルビアを主宰するデザイナーのセキユリヲさんによる往復書簡をお届けします。

中川敦子さんからセキユリヲさんへ。

 

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セキユリヲさま

 

この間、お手紙を書いてから、あっという間に春がやってきましたね。
あたたかく穏やかで大好きな季節ですが、花粉症が鬱陶しいです。
朝、思いっきり窓を開けて換気したら、くしゃみを連発。嫌になっちゃいます。

 

でも、どんな季節も外で思いっきり遊べる自主保育、ステキですね! 雨も雪もへっちゃらとは、たくましい! うちの子どもたちは、外で遊ぶ時間が少ないかなあ。自分たち親がアウトドア派じゃないせいもあるかも(反省)。

 

それでも京都に来てからは、家のまわりには植物園があったり、目の前には鴨川が流れていたり、自然はとても豊かです。京都は、ぐるりと山が見えて、空気の抜けがあるのは気持ちがいいです。

 

夏になると、子どもたちは鴨川にジャブジャブ入って小魚をみつけたり、きれいな石を拾ったりしていますよ。それに、近くの神社にも小川が流れていて、そこでは、水着を着ておおはしゃぎ!親たちは、川辺の木陰にレジャーシートをひろげて、のんびりしています。その神社は、世界遺産にもなっているような観光名所なのに、京都の人にとっては普通に憩いの場所になっているのが、面白いなあと感じます。

 

でも、北海道は自然のスケールが違いますよね!最近、北海道でのお仕事もいくつかあって、家族で行くこともあるのですが、飛行機から降り立つといつも「ほっかいどうはでっかいどう~!!」と叫びたくなります。
その土地がもっているパワーというのが、それぞれにありますね。もちろん東京にも。セキさん家族の北海道での暮らし、ぜひまた聞かせてください。

 

話は変わりますが、セキさんのお手紙にあった“母にさせてもらった”という言葉、みんなそういう感覚、あるんじゃないかと思います。妊娠・出産した女性は特に、生理的な体や心の変化があり、体感として母になった(母になってしまった!)と感じるところは、もちろんありますが、男性は果たしていつから父親の実感があるんだろうか?と思います。実感がないまま、父親を演じているような人もいるのかもしれませんね。

 

やっぱり、子どもと一緒に過ごす1日1日が、私たちを親として成長させてくれ、子どもが必要としてくれて初めて父、母になれるんじゃないかと。
手をつなぎたいと伸ばしてくれた、その小さい手を握り返す強さや温度で、不安そうな顔で私を見上げた時に「大丈夫だよ」と笑顔でかえしてあげることで、子どもたちに自分は愛されているんだという、ゆるぎない安心感を伝えてあげたいなあと思っています。そこさえあれば、思春期になっても(グレても?)きっと大丈夫なんじゃないかなと。どうかな?どこまで伝わるか、母の愛!(笑)

 

セキさんは、母親として、これだけは子供に伝えたいと思っているものがありますか?
私は、親とは、子どもたちに生きて行くために必要な先人たちの知恵を伝える存在にすぎないのかも、と思っています。親でも先生でも、子どもたちの上に立っているわけではなくて、ちょっと先を歩いてきたというだけにすぎない。サルでもシカでも、他の生き物の親(大人たち)は、シンプルにそういうことを教えていますよね。「ここは危険だ!」とか「この木には美味しい実がなる」とか。学校の勉強も「この計算を覚えておいたら、生きていくのにすっごく便利なんだよ!」くらいに教えてくれたらいいのになあ。

 

でも、そんなことを言いながら、実際には「宿題終わったの!?明日の準備は~!」とか、宿題を教えながら「なんで何回、言ってもわかんないの!」なんて、「ドラえもん」の、のび太のママみたいに怒鳴っています。やれやれですね。

 

4月から息子も小学校。どんな先生、友達との毎日がはじまるか。また相談にのってもらうことがでてくるかもしれません。
どうぞ、よろしくお願いします~!

 

tupera tupera 中川敦子

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次回更新は4/5(金)の予定です。salvia デザイナーのセキユリヲさんからのお返事です。

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