世界に名を刻むアーティストの絵本
今回、セレクトした絵本のほかFasuがおすすめする絵本が、本日2月20日よりスタートする〈プレイタイム東京〉に登場。イベントにもぜひ足を運んでみてください。
どうしてヘビはセレブリティに愛され、名声を手に入れたのか。『アンディ・ウォーホルとヘビのおはなし』。
偉大なポップ・アーティストとして知られるアンディ・ウォーホル。彼はキャリアの初期広告デザイナー、イラストレーターとして活躍していました。この絵本もその当時、60年代初頭に描かれたもの。クライアントのひとつだった皮革製品会社Fleming-Joffenonoの依頼で描いたシリーズをひとつの絵本としてまとめました。主人公は上流社会に憧れる1匹のヘビ。ヘビは、時代のセレブリティたちに愛されることで名声を手に入れていきます。ジャクリーン・ケネディのブーツになり、エリザベス・テイラーのブレスレットになり、そして、ココ・シャネルのシャツの襟飾りにも! ヘビの言葉は、まだ当時売れないデザイナーだったアンディの願望そのものを映しているよう。キラキラと煌めくファッショナブルなヘビの冒険は、読み手の好奇心を大いに刺激してくれます。
ボブ・ディランが愛息のためにつくった歌、 「Forever Young」から生まれた『はじまりの日』。
1974年に発表されたボブ・ディランの名曲のひとつ「Forever Young」。子どもを想うあたたかな眼差しに満ちたこの曲に、アメリカ人詩人のアーサー・ビナードが美しい日本語訳をつけ、1冊の絵本に。「毎日が きみの はじまりの日」と、未来へと歩みだしたすべての子どもたちへ捧げる祈りのようなメッセージ。その一文、一文が胸に刺さります。また、ポール・ロジャースによるイラストレーションはディランファンなら、宝探しをするような楽しさのあるものに。ディランが影響を受けたアーティストや関係のある人物(アイン・シュタインやビートルズも!)を描きこんだり、彼の名曲のワンシーンを盛り込んだり。ポール自身による解説文もユニークで勉強になる内容。「Forever Young」を聴きながら絵本を読めば、親子でディランの深淵に触れることができそうです。
ジョン・レノンの自由奔放な言葉遊びの世界、『絵本ジョン・レノンセンス』。
本作は、絵本というより詩や散文、ショート・ショートを集めた短編集。ビートルズの天才詩人であるジョン・レノンが1964年に書いた「In His Own Write」を翻訳したもの。序文を担当したのは、ポール・マッカートニー(!)。ところどころに登場するペンで描かれた素朴で、飄々とした感じの挿絵もジョンが描いたもの。言葉遊びの天才が、思いつくままに描き出した、おかしくて、ヘンテコで、意味不明、それでいて、どこか洗練されたまさにジョン・レノンの「センス」が詰まった1冊です。少し年上の子どもたちは、意外と読んでみると大爆笑の連続となるかもしれない。子ども心をくすぐる荒唐無稽なストーリーは、大人のつまらない常識も破ってくれそうです。