草花や土に触れたくなる絵本
植物が大好きな男の子のお話、『はちうえはぼくにまかせて』。
アメリカの絵本作家ジーン・ジオンとマーガレット・ブロイ・グレアムの夫婦コンビは『どろんこハリー』などで知られています。いずれもチャーミングなお話とイラストで日本でも人気が高いですが、この絵本もとても素敵です。夏休みの旅行に出かけたご近所さんの鉢植えの植物を一手に集めてお世話すると決めたトミー。家の中は、ジャングルのように植木鉢だらけです。パパに文句を言われながらも、植物に合わせて日向に置いたり日陰に置いたり、水の量を工夫したりとトミーはかなりのお世話上手。ついには、よく育った植物を挿し木して、小さな鉢植えまで新しく増やしていきます。グリーンとイエローの色使いと、描かれている様々な観葉植物がとても魅力的。トミーを真似して我が家ももっと緑が欲しい! と思ってしまいます。
雑草の世界を緻密に魅力的に描く『たねが とぶ』。
85歳を越える現在も現役の絵本作家として活動される甲斐信枝さん。1976年に出版された『ざっそう』をはじめ、足元に広がっている小さな植物たちの姿を丁寧な観察眼ですくい上げ、描いてきました。『たねがとぶ』は1987年の「かがくのとも」の一冊として発行されたもの。道端に咲いている春の草。のあざみ、たんぽぽ、すみれにしろつめくさ。季節が変わるころには、みんな実をつけます。実の中の種は、季節が巡ると新しい場所を探し旅に出ます。躍動的な種たちの旅立ちのシーンはとにかく美しく見事です。綿毛がついた種は、風に吹かれて空高く舞い上がり、小さな種はちりじちにはじけます。道端の雑草を改めて見つめなおしたくなる一冊です。
子どもたちと作るイングリッシュガーデン、『庭にたねをまこう!』。
童話「テディ・ロビンソン」シリーズなどで知られるイギリスの絵本作家ジョーン・G・ロビンソンのとてもかわいい庭仕事の様子を描いた一冊です。冬が終われば、庭をきれいにして土をたがやし、種をまく準備をします。春がきたら、トマトやレタスなどの野菜やたくさんの花の種をみんなでまきます。そして、夏がやってくれば、いよいよ庭は素敵な場所に。みんなでひなたぼっこしてお昼寝をしたり、パーティを開いてみたり。イギリス流のガーデニングの楽しみ方をこの一冊ですっかり教えてもらえます。大きなお庭だけでなく、都会に住む子どもたちの緑の楽しみ方も、ちゃんと描かれているのもかわいらしいです。