DATE 2018.09.20

永遠のおともだち、愛すべき“くま”絵本

気になるテーマの絵本を3冊セレクトしてお届けする絵本ガイド。今回のテーマは「永遠のおともだち、愛すべき“くま”絵本」。ほわほわとしてかわいいくまたちが主人公の絵本は、どれも優しくて胸が温まる物語ばかり。大人になっても大事にとっておきたくなるような絵本です。

センダックが描くいろんなくまが楽しい『くま! くま! くまだらけ』。

くまが主人公の楽しいナンセンス絵本。表紙からまさにくまだらけ! テディベアを抱えて眠る男の子のベッドサイドランプもカーテンもかわいい“くま”柄です。よくみると、窓の外のまん丸なお月様もくまの顔。着ぐるみ姿の男の子には、なんだか見覚えが? そう、絵を描いているのは「かいじゅうたちのいるところ」のモーリス・センダック。主人公の男の子は、夜中にかいじゅうたちの島へと出かけた、あの子なのかもしれません。テキストは、こちらも名作くま絵本の「はなをくんくん」のルース・クラウス。ことばあそびの達人である石津ちひろがリズミカルで楽しい訳をつけてくれています。大事なテディベアを犬にとられた男の子は、犬を追いかけて、どんどんふえる“くまだらけ”の世界へ。追いかけっこにくたびれちゃった男の子は……? 意外なオチも楽しく、何度も声に出して繰り返し読みたくなる1冊です。

 

『ゆうびんやのくまさん』 作・絵/フィービ・ウォージントン、セルビ・ウォージントン 訳/間崎 ルリ子 福音館書店 本体1,000円(税別)

働きもののくまさんのおはなし『ゆうびんやのくまさん』。

イギリスの名作絵本シリーズから、パン屋さんや植木屋さんなど、いろんな仕事をするくまさんのシリーズの紹介です。こちらのタイトルは『ゆうびんやのくまさん』。クリスマス・イブの朝、いつもよりたくさんのこづつみや手紙を受け取ったくまさん。でも、慌てずに丁寧に、ひとつひとつの郵便物を届けます。雪が降る中、コツコツと働くくまさんの姿が愛らしく、素朴なタッチの挿絵も魅力的です。中でも、クリスマスらしい飾りつけがされた街のショーウィンドウやそれぞれのお家のデコレーション(くまさんのお家のクリスマスツリーにも注目を!)もとても素敵。クリスマスの贈り物にも最適な、とてもかわいいお仕事絵本です。

『くまのビーディーくん』 作・絵/ドン=フリーマン 訳/松岡亨子 偕成社 本体1,400円(税別)

ぜんまいじかけのかわいいこぐま『くまのビーディーくん』。

アメリカの絵本作家ドン=フリーマン。彼のくま絵本といえば『くまのコールテンくん』が有名ですが、それより10年以上前に描いたこちらの絵本もとても愛らしく素敵なのでおすすめです。主人公はくまのビーディーくん。仲良しの少年セイヤーくんが持っている、ぜんまいじかけのおもちゃです。ある日、ビーディーくんは、くまは“ほらあな”にすむものなのだと知り、自分も「くまのすむところ」を探したいと家出をしてしまいます。ほらあなをみつけて、眠ろうとするけれど「なにかがたりない」と気づくビーディーくん。一体、何が足りないのでしょうか? とてもシンプルな白黒の版画絵ですが、こぐまの表情や柔らかそうな毛並みの動きまで表現されていてその描写力に驚きます。最後のセイヤーくんとこぐまの愛らしい会話に、ホッと心が温まります。

 

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