夏休みを楽しむ夏絵本【3歳〜向け】
なんでもない日だけど、忘れられない夏がある『なつのいちにち』。
夏の傑作絵本といえば、まず思い出す1冊です。麦わら帽子をかぶった男の子は、虫取り網を持って、ひとり走っていきます。目指すのは神社の裏山。クワガタを捕まえにいくのです。大きな雲が次々と流れていく海、どこまでも広がる緑の田んぼ、そして、虫たちやカエルが動き回る野原……ひとつひとつの場面から、その感触やにおいまで伝わってきます。子どものころは、永遠に続くと思っていた、なんてことない夏の1日。大人になってしまうと、その体験がどんなに貴重なものだったか理解できます。汗をかき、泥だらけになって、遊ぶこと。その大切さ、気持ちよさを、今の子どもたちにも教えてくれます。
できることなら本当に入ってみたい『すいかのプール』。
とてもユニークな韓国の絵本作家による作品。真夏の太陽に照らされて、すっかり熟したすいかが“ちゃっ”と割れたら「すいかのプール」のプール開きです。すいかの種をよいしょっとどけて、冷たいすいかに浸かるおじいちゃん。なんとも気持ちよさそう!しばらくすると、子どもたちもたくさんやってきます。葉っぱの上からジャンプしたり、すいかの皮で作った滑り台で滑ったり。すいかの中を「さっく、さっく」と歩く音や、色鉛筆で丁寧に描かれたすいかの質感も見事で、頭の中ではすいかのプールの匂いや入ったときの肌触りまで再現してしまいます。この絵本を読んだら、すいかを食べながらいろんな空想が広がりそうです。
かわいい人魚たちのひと夏の冒険『3人のちいさな人魚』。
フランスの絵本作家、デニス&アラン・トレ。本作は、夫婦で数多くの絵本を手がけた二人の代表作でオリジナルは1969年発行。古い絵本ですが、チャーミングが物語で、長い間愛されています。主人公は3人のちいさな人魚たち。生き物が大好きなコーラ、のんびりやさんのフローラ、おしゃれなベラ。3人とも人魚なのに歌を歌うのがとても下手! それが災いして、大きな船が座礁してしまいます。慌てた人魚たちは、ひとりの女の子を助け出して……。美しい海をイメージした淡いブルーを使い、絵柄もとてもシンプル。読みやすくて、お話もとても楽しく、その世界に引き込まれます。