そんなふう 66
娘が食あたりで熱を出した翌朝、おじいちゃん大好き、おじいちゃんの、かみさまの石にすきすきしたい、と言う。石?と、聞き返すと、そう、おじいちゃんは石になったから。
寝起きだったし、熱がまだあったから、なにか夢でみたことを話してるのかと思ったけれど、とりあえず何の話か気になったので、天草の?と聞き返す。そう、天草のおじいちゃん、死んじゃったから、と言うのでつじつまは合っている。時々ふと思い出したかのように、天草のおじいちゃん死んじゃったね、滋賀のおじいちゃんは生きてるね、と確認するように言うときがある。
そのときはそこで話が終わったが、気になったので夕食の際に夫に聞いてみた。石になったってどういうことなんかな、と言うと、あれじゃない、お墓のことだよ、と言われ、納得した。おじいちゃんの石にすきすきしたい、というのは、亡くなった義父のお墓に頬ずりしたい、ということだったのだ。すきすきしようと甘えて抱きついてくるときに、いつもお互いの頰を引っ付けてすり合わせるのが常だからだ。
なぜ寝起きにそんなことを言ったのかはよくわからないけれど、夜中じゅう、娘が熱で苦しそうだったから、義父が枕元に立って見守ってくれたのかもしれない、と思うことにした。