子どもたちのデザインマインドを育むEテレの人気番組「デザインあ」の展覧会にひと足はやく行ってきました!
富山県美術館は、「デザインあ」の総合ディレクターであるグラフィックデザイナーの佐藤卓さんが屋上庭園「オノマトペの屋上」を手がけるなど深い関わりを持つ美術館。富山県美術館開館記念展のひとつとして5月20日(日)まで今回の展覧会が開催されています。すでにたくさんの来館者が訪れ、美術館の動員記録を塗り替えそうな勢いなのだとか!
今回の展示は、3つの「へや」にブロックが分かれています。まずは「観察のへや」から。こちらではお弁当・容器・マーク・なまえ・からだと5つのテーマを決めて、それぞれのテーマがデザインによってどのように私たちの生活とつながっているのかを示してくれます。中には、大きなお弁当箱の中に入って梅干しの気持ちになれるオブジェや、さまざまなカードを組み合わせて自分でオリジナルのマークを作れるコーナー、名前を入力すると自分の顔になるという驚きのタッチパネルなど、子どもたちが実際に手を動かしたり、じっくり観察することでデザインの仕組みを発見できる展示も多数。
また、番組でも人気のみんなで対象物を360度囲んで様々な角度からデッサンする「デッサン あ」のコーナーや伝統的な「紋」を描く「もんどころ」のコーナーなど、自分たちで描くエリアも用意されています。親子で「描くこと」にじっくり向き合ってみるのもおすすめです。
つづく「体感のへや」は大きなカーテンの奥。一体、何があるんだろうとドキドキしながらカーテンをくぐると……そこは360°スクリーンが取り囲む映像と音の部屋! 「『あ』のテーマ」「解散!」「森羅万象」「ガマンぎりぎりライン」など番組でもおなじみの映像コンテンツをより特別な環境で楽しむことができます。Corneliusの小山田圭吾さんによる本展オリジナルのサウンドに身を委ねる時間は大人にとっても子どもにとっても刺激的な体験となるはず。
そして、最後は「概念のへや」。くうかん・じかん・しくみの3つのテーマを掲げ、場所の広さや時間の流れ、人や物はどのようにして動くのかなど、言葉では説明しにくい「概念」の中にあるデザインや「概念」そのものをデザイン化して紹介していきます。あそべる展示で面白いと思ったのは、実際に歯車になるその名もずばり「歯車になる」。いろんな人と一緒にひとり1個の歯車になって、しくみを動かしてみる。歯車の「しくみ」を自ら体感できる楽しいインタラクティブな展示です。
総合ディレクターの佐藤卓さんは「人のあらゆる営みに、デザインは欠かせないもの」と話します。
「デザインという言葉はおおいに誤解されていると思います。人の手が関わるすべての物事は、用途にあわせたデザインを施される必要があり、デザインを経て日常生活の中に溶け込んでいます。無意識のうちに使っているデザインが身の回りにはたくさんある。今回の展示では、そのことをより身近に感じてもらうことを意識しました。デザインの目を持つことはこれからの子どもたちにとってとても大切なこと。子どもたちへのデザイン教育を考えたいとはじめた番組が『デザインあ』です。そして、この展示をきっかけに、さらにデザインの面白さと必要性を子どもたちに感じ取ってもらえたら。それは、当たり前のある“物”や“しくみ”に改めて感謝する気持ちも育ててくれるものだと思うんです」。
子どもたちに、新しいデザインマインドを引き出してくれる「デザインあ」展。それを、どこよりも早く体感できる富山へ、ぜひお近くの方は遊びに出かけてみてください!