DATE 2021.04.30

角野栄子デビュー50周年記念インタビュー。コロナ時代の子どもたちに「してほしいこと」とは?

『魔女の宅急便』や『アッチ・ソッチ・コッチの小さなおばけ』シリーズで知られる、児童文学作家・角野栄子さんのデビュー50周年を祝うオンラインイベントが3月末に開催。日々の「ワクワク」を大切にされている角野さんに、コロナ時代を生きいきと過ごすヒントを頂いた。

「魔女の宅急便」や「アッチ・ソッチ・コッチの小さなおばけ」シリーズなど、数多くの児童書を世に送り出し続け、86歳になった今もなお意欲的に創作活動をされている角野栄子さんが、昨年デビュー50周年を迎えた。

そのお祝いとして、ファンの親子100組を招待した「角野栄子さん作家デビュー50周年記念♪おばけのアッチとお祝いパーティ」が3月28日にオンライン開催。

大盛況に終わったイベントの後、楽しいひと時を過ごされた角野さんに、そのクリエイティビティの源について聞いてみた。

物語が大好きだった少女時代

 

 

――角野先生が幼少期の頃にご興味があったこと、またそのころから変わらず原動力になっていることは何でしょうか。

 

小さい頃から興味があったのは「お話」ですね。本が読めない時からも父が「お話」を語りきかせてくれて、その「お話」が私の中にはずっとあったと思います。物語っていうのは何が起きるかわからないでしょ。それがワクワクするじゃない。何と出会えるかわからないっていうね、先が見えない楽しさ。それがすごく私は大好きですね。だから、物語が大好き。

――物語の中でも、好まれていたものはありますか。

 

小さい時は日本昔話の絵本を読んだりしていました。それから、私は母が5つの時に亡くなりましたので、父が一生懸命に子供たちに接してくれた中で、自分が見た映画とか、昔だから無声映画ですよね、そういったものやラジオで聞いた講談だとか、新聞で読んだ連載小説だとか、そういうものをかいつまんで話してくれていました。それがすごく楽しかったですね。

――お父様とのお話の共有は、コミュニケーションの一環としてとても重要だったんですね。

 

これを読ませたら、これを話したら、勉強ができるようになるとかね、そういったことは全く考えてなかったと思います。ただ、母親がいなくなってしまって、小さい子供たちに何か自分でできるものっていうのを考えた時に、子どものためとかじゃなく、ただただ自分が楽しいと思ったことを子供に伝えたい、という気持ちが強かったのではないかと思います。だから、私も今自分が楽しいと思ったことを書くようにしてます。自分が楽しいと思わなきゃ伝わりませんからね。

 

 

 

 

 

昔の子どもと今の子どもの違い

 

 

――子ども達に50年間物語を届けてらっしゃいますが、昔と今とでその子供たちに変化を感じることはありますか。

 

昔の子供たちはもっとたくさん本を読んだと思います。アッチを書き始めた頃はね、いっぱいお手紙をいただきましてね、すごくいっぱい。その文章も長かったです。

今のお子さん達は、文章が短くなったんですが、その代わりに、絵を描いてくれてたりする。そういうところは変化かなと思うんですね。やっぱり今は映像の時代だから。

文章は「角野さん頑張っておもしろいお話書いてください」という感じで、その後に自分が思うアッチの姿だとかボンの姿だとかを描いてくださる。

色々想像して、自分でお話を作りながら描いてるんじゃないかなと思います。そういったものを見ると、とても刺激になります。すっごくかわいいですからね。大人が忖度して描いたものとは全く違いますから。どれひとつとして下手ってものはないです。文章も絵もね。

――50年間創作を続けられている中で、大事にしている視点や発想の元になっているものはありますか?

自分がワクワクするものです。だって、子どもは一番正直な読者なんですから。

おもしろくないと思ったら読んでくれない読者ですからね。だから、本当に自分がワクワクする、これからどうなるんだろうって自分も思うような、そういう物語を書いていく。私にパワーがあるとすればね、それがパワーだと思います。ただ、書く材料を探すために見にいくとか、読むってことはありません。

――最近とても楽しいと感じられたことは何でしょうか。

 

このコロナでね、楽しいことはあまりないですよね。会えないし、あまりおしゃべりもできないし。

だけど、意外とぼーっとしている時って色々なことを考えるから、ぼーっとしている時間というのを活用しなくちゃなとは思ってます。そのぼーっとした時間をいきいきと色々なものを見ようとしたりね、想像したりね。そうすると、ちっちゃな庭だけど、変化があることに気が付くし。

例えば、今ちょうど紫陽花なんかが緑の葉っぱを出し始めてきているんだけど、「あら、いつの間にか緑になっている」じゃなくて、毎日毎日ちょびっとずつね、芽吹いてくるわけ。ちょびっとずつ青くなっていくことを楽しみたい。

それから、おしゃれなんかしてもね、今は誰も見てくれないでしょ。そうすると庭に出ていって雀に見て見てって言ってみる。そういうふうに、馬鹿馬鹿しいと思えば馬鹿馬鹿しいんだけど、そんなことをやってます。

――最後に、子ども達に向けてメッセージを。

 

難しいことだと思うんですよね、こういう時期。だけど一人の時間って言うものを、どれだけ楽しくできるかなって、そういう冒険もあると思うんです。

おうちで、どれだけ一人の冒険ができるかなというのに挑戦してみてほしい。絵を描いて冒険してみてもいいし。自分の楽しいものを見つけて、それを広げて楽しむことができる時間が今はたっぷりあるかなと思う。外に行けない分だけね。

代表作で振り返る50年

『ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて』 1970年 ポプラ社

移民として2年間暮らしていたブラジルでの出会いや交流を描いたデビュー作。国際アンデルセン賞・作家賞の受賞を記念して、ポプラ社より2019年に刊行された復刻版。
移民として2年間暮らしていたブラジルでの出会いや交流を描いたデビュー作。国際アンデルセン賞・作家賞の受賞を記念して、ポプラ社より2019年に刊行された復刻版。

『スパゲッティがたべたいよう』 1979年 ポプラ社

現在も毎年刊行されているロングセラーであり、親から子へと読み継がれ続ける「アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけ」シリーズの第一作目。
現在も毎年刊行されているロングセラーであり、親から子へと読み継がれ続ける「アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけ」シリーズの第一作目。

『魔女からの手紙』 1997年 ポプラ社

荒井良二やディック・ブルーナをはじめ、著名な画家20人による魔女のイメージで描いた絵に、角野栄子が手紙文をつけた、遊び心溢れる仕掛け満載の絵本。
荒井良二やディック・ブルーナをはじめ、著名な画家20人による魔女のイメージで描いた絵に、角野栄子が手紙文をつけた、遊び心溢れる仕掛け満載の絵本。

『リンゴちゃん』 2003年 ポプラ社

「せかいいちわがままなおにんぎょう リンゴちゃん」シリーズ第一弾。おばあちゃんが作ってくれたお人形のリンゴちゃんとマイちゃんの出会いのお話。
「せかいいちわがままなおにんぎょう リンゴちゃん」シリーズ第一弾。おばあちゃんが作ってくれたお人形のリンゴちゃんとマイちゃんの出会いのお話。

『おばけのアッチとドララちゃん』 2010年 ポプラ社

『アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけ』シリーズの24作目。お馴染みのキャラクタードラキュラの孫娘・ドララちゃんとアッチの出会いを描いた一冊。
『アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけ』シリーズの24作目。お馴染みのキャラクタードラキュラの孫娘・ドララちゃんとアッチの出会いを描いた一冊。

『わたしのもう一つの国』 2020年 ポプラ社

若い頃に移民として渡り、2年の歳月を過ごしたブラジル。その20年後、思い出深い地へ娘と共に訪れた、楽しい旅の様子を綴るエッセイ。
若い頃に移民として渡り、2年の歳月を過ごしたブラジル。その20年後、思い出深い地へ娘と共に訪れた、楽しい旅の様子を綴るエッセイ。

『おばけのアッチとコロッケとうさん』 2020年 ポプラ社

『アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけ』シリーズの最新作。テレビで天才コックと紹介されて大得意のアッチ。しかしコロッケが突然じょうずに作れなくなってしまう。
『アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけ』シリーズの最新作。テレビで天才コックと紹介されて大得意のアッチ。しかしコロッケが突然じょうずに作れなくなってしまう。

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