歯がグラグラしてきたあの子に。ポップで壮大なサイエンスアドベンチャー
歯が抜けて、カルシウムの冒険がはじまる!
乳歯が抜けることは、子どもにとって一大事。グラグラしてきた歯が気になって舌で押したり、指で触ったり……。
そんな歯が抜けた男の子からはじまるこの絵本。
てっきり「歯」に関する物語だと思いきや、歯をきっかけにカルシウムという物質が地球を循環するという壮大なストーリーが展開する。
抜けた歯は土に埋められ、その後カルシウムとして小松菜やカタツムリなど、地球上のいろんな場所や生き物と関わり、次々と場面が転換していく。
文章はバナナのことが楽しくわかる『バナナのはなし』の伊沢尚子、ポップで楽しくグラフィカルな絵をイラストレーターのダイスケ・ホンゴリアンが担当。テンポよくユーモアを交えながら進んでいくカルシウムの冒険は、子どもならず大人も「次はどこへ行くんだろう」と次々とページをめくりたくなる面白さだ。
読み終わったあと、「この歯や骨はどこからきたんだろうね」と語り合いたくなること間違いなし。
歯だけではなく、栄養のこと、そして物質のことや地球のことに興味が湧く楽しくもためになる本。歯が抜けた記念のプレゼント、なんていうのもいいかもしれない。
文:伊沢尚子、絵:ダイスケ・ホンゴリアン 福音館 1,320円