シェフ・相場正一郎のごちそうレシピ。ひな祭りのメニューは“父の味”を定番に
ひな祭りのごちそうと言えば、ちらし寿司、はまぐりのお吸いものというのが”母の味“の定番。では、ニュースタンダードなこの時代、“父の味”は? ということで立ち上がったこの企画。たまにはいつもと違うメニューを楽しんでみてはいかがだろう? ご自宅でもパーティや週末のスペシャル感を出すためによく作る、というレシピを教えてくれるのはFasuでもおなじみ、シェフの相場正一郎さん。身近な材料を使って簡単にできる「オーブン焼き」は、工程もシンプルで面倒なことは一切なし。なのに味はレストラン級で、料理ビギナーでも安心して作れる一品だ。これを機に「父の味」を家族の新定番に。
Q. 相場家ではいつもひな祭にどんな食事を楽しんでいますか?
実は、ひな祭りは僕の誕生日でもあるんです。ダブルのお祝いですね。和食にするときは、ちらし寿司や妻のオリジナルのひと口寿司などが多いです。デザートにはフルーツタルト。洋食のときは、うちの家族はオーブン料理が好きなのでグラタンにしたり、今日ご紹介する肉と野菜のオーブン焼きもよく食べます。みんなで大きなお皿からシェアするのが楽しいですね。
Q. 普段料理をしないパパにおすすめの簡単&豪華なひな祭りレシピとは?
料理が苦手と思っている方でも、オーブン料理なら手間がかからず味付けもシンプルなのでおすすめです。オーブン焼きはいつもと違うスペシャル感を演出できますしね。うちでは、特別な日だけではなく週末にもよく作ります。下味を付けたらあとはオーブンにお任せなので、失敗が少ないし、何より大皿でバーンと出てくると盛り上がりますよ。今回紹介するレシピでは、塩とオリーブオイル、にんにくとハーブを使った味付けでしたが、チーズを使うなど好みでアレンジもしやすい。付け合わせの野菜やサラダで季節感をだせば、一年中楽しめるメニューになります。ぜひパーティーの定番メニューに入れてほしいですね。
Q. 料理センスゼロのパパでも上手に盛り付けできるコツを教えてください
よく、「大きめのお皿を使って、周りに余白を残して真ん中に高く盛る」などといわれます。でもそれは料理しだいかな。オーブン焼きのような料理なら、材料はなるべく大きめにカットしてダイナミックに。そして、じゃがいもはじゃがいも、肉は肉、というふうに種類ごとにまとめて盛り付けるとごちそう感が増すような気がします。あとは、香り付けのハーブは上にのせて焼くとか、最後にオイルとパセリをテーブルで散らしたりするのも、楽しませる演出です。
Q. 相場さんが「父」として感じる、子どものために料理することの楽しさや喜びとは何ですか?
自宅での食事は妻が作ることが多いので、和食メニューが中心。だから僕が洋食系のおかずを作ると喜んでくれます。子どもたちが「おいしい!」と言ってくれたらやっぱり嬉しいし、料理する喜びの基本はそこ。自分の料理を食べた人が「おいしい」と笑ってくれること。家族でもそれは同じです。休みの日には、子どもたちを誘って一緒に料理を作ることもあります。彼らが楽しんで作れるようなレシピを選んで、みんなでキッチンに立って作る。楽しいですよ。
作る時間も大切ですが、それと同時に、僕は家族みんながそろって食卓を囲む時間がとても大事だと思っています。だから、忙しくてもなるべく同じタイミングで食事をするように心がけています。一緒に座って同じものを食べながら、その日の出来事を話したり、今どんな気分なのかを共有するのが何よりの楽しみです。
子どもたちは、あっという間にどんどん成長して親から離れていきます。寂しい気もするけれど、大きくなった時に「あの味がまた食べたい」とか「母親(父親)の料理が懐かしい」とか、そんなふうに我が家の味や料理を思い出してくれたら嬉しいですよね。そして、彼らが自分の家族を持った時にも同じように、幸せな食卓を囲んでほしい。家族の味って、そういうものだと思います。
料理がちょっと苦手でも、「上手に作れないから」とチャレンジしないのはもったいない。確かに、おいしいほうが楽しいし会話もはずむかもしれませんが、たとえうまくできなくても「人のことを想って、人のために何かを作る」ということ。そのために時間を使うということが大切だと思います。味の記憶はきっと長く残るから、「パパの味」「ママの味」を、ぜひ子どもたちに食べさせてあげてください!
〈チキンとじゃがいもの香草ガーリックロースト〉
■材料(3〜4人分)
・鶏肉(もも、むねをミックス) 皮を取った状態で350g
・じゃがいも(メークイン) 2個
・にんにく 1/2個
・そらまめ(さや付き) 4本
・ローズマリー 2〜3枝
・タイム、セージなど(好みのハーブ) 適宜
・塩、オリーブオイル 適量
付け合わせ
・ビーツ 2個
・イタリアンパセリ(刻む) 適量
■下準備
・じゃがいもは皮をむいて1.5cm幅に切り、さっと下茹でする
・オーブンを200℃に予熱する
・付け合わせ用のビーツは、皮をむいて適当な大きさに切り、鍋に入れてたっぷりの水と1%程度の塩を加えて、やわらかくなるまで茹でる
■ポイント
・じゃがいもは、鶏肉と同じ焼き時間で火が通るように、軽く下茹でしておく
・にんにく、オリーブオイルをたっぷり使うのがおいしさの決め手
・豚肉でもアレンジ可能
・そらまめの代わりに、なすやズッキーニ、ブロッコリなど、季節の野菜を使ってもよい
■作り方
1)にんにくは、手や包丁の腹を使ってつぶし、皮を取り除く。
2)大きめのボウルに、鶏肉、1、2、手でちぎったローズマリー1本分を入れ、塩3つまみ程度をふる。オリーブオイル大さじ3を加えて全体をよく混ぜる。
3)耐熱皿にオリーブオイルを塗り、3の具材とそらまめを並べる。
4)3に残りのローズマリーとハーブをのせ、塩少々とオリーブオイルをかけて200℃のオーブンで20〜25分焼く。
5)4が焼き上がったらテーブルに出し、好みでオリーブオイルをかける。別皿に茹で上がったビーツを盛り、オリーブオイルとイタリアンパセリをかけて添える。