この場所でいつも見送ってくれたのは祖父母だった。

毎回別れる間際にふたりの記念写真を家の入り口で撮影して、手を振った。また来るね、と言いながら、また、が無事に次回もありますように、と思いながら。また、がなくなってから随分たった。いまは同じ場所で両親が見送ってくれる。父と娘が手を振りあっているのを見て世代交代したんだと、ふと実感した。重なる小さな手が大きくなっても、同じように過ごせる時間があるといいなと、帰りの電車の中、流れる景色をみながらぼんやり思った。